世界文学全集のためのメモ 8 『痴人の愛』 谷崎潤一郎

日本語編 3 谷崎潤一郎1886-1965 『痴人の愛』1924-1925 原文 『谷崎潤一郞全󠄁集』(中央公論社、1982年) pp. 1-302 フランス語訳Junichirô Tanizaki, Un amour insensé (traduit par Marc Mécréant, Paris: Gallimard, 1991) 一體ナオミは、音󠄁樂の方はよ…

世界文学全集のためのメモ 7 『ボヴァリー夫人』 ギュスターヴ・フローベール

フランス語編 5 Gustave Flaubertギュスターヴ・フローベール1821-1880 Madame Bovary『ボヴァリー夫人』1857 日本語訳*1 ①伊吹武彦訳『ボヴァリー夫人』1936/1960年(岩波文庫 上 下) ②生島遼󠄁一訳『ボヴァリー夫人』1958/1965年(新潮文庫 ) ③山田𣝣訳『…

世界文学全集のためのメモ 6 『青い鳥』 モーリス・メーテルリンク

フランス語編 4 Maurice Maeterlinckモーリス・メーテルリンク1862-1949 L’Oiseau bleu『青い鳥』1908 日本語訳*1 ①若月紫蘭訳『青い鳥』1913/1961年(岩波少年文庫、1970年 )*2 ②楠山正雄訳『青い鳥』1928/1956年(角川文庫 ) ③堀口大學訳『青い鳥』1960…

世界文学全集のためのメモ 5 『猟銃』 井上靖

日本語編 2 井上靖1907-1991 『猟銃』1949 原文 ①『文學界』第3巻第8号(1949年10月) pp. 8-36(初出) ②『井上靖全集第一巻』(新潮社、1995年) pp. 457-494 フランス語訳Yasushi Inoué, Le Fusil de chasse (traduit par Sadamichi Yokoo, Sanford Golds…

世界文学全集のためのメモ 4 『うたかたの日々』 ボリス・ヴィアン

フランス語編 3 Boris Vianボリス・ヴィアン1920-1959 L’Écume des jours『うたかたの日々』1947 日本語訳*1 ①曾根元吉訳『日々の泡』1970年(新潮文庫、1998年 ) ②伊東守男訳『うたかたの日々』1979年(ハヤカワepi文庫、2002年 ) ③野崎歓訳『うたかたの…

世界文学全集のためのメモ 3 『愛、ファンタジア』 アシア・ジェバール

フランス語編 2 Assia Djebarアシア・ジェバール1936-2015 L’Amour, la fantasia『愛、ファンタジア』1985 日本語訳『愛、ファンタジア』石川清子訳、みすず書房、2011年 Il faut partir, l’odeur est trop forte. Le souvenir, comment s’en débarrasser ? …

世界文学全集のためのメモ 2 『猫を抱いて象と泳ぐ』 小川洋子

日本語編 1 小川洋子1962- 『猫を抱いて象と泳ぐ』2008 フランス語訳Yôko Ogawa, Le petit joueur d’échecs (traduit par Rose-Marie Makino-Fayolle, Arles: Actes Sud, 2015) 「あなたに初めてチェスを教えたのがどんな人物だったか、私にはよく分かります…

世界文学全集のためのメモ 1 『ドラ・ブリュデール』 パトリック・モディアノ

文学全集の配本が定期的に届く生活に憧れて、ひとりで世界文学全集の企画を始めてみることにした。 いろいろな場所で、いろいろな時代に、いろいろな言語で書かれた、強度のある言葉に触れてみたい。それが続いて、ぼくの世界文学のコレクションができればい…

堀辰雄『風立ちぬ』のフランス語版を日本語に訳してみる 8

[フランス語版]Une dizaine de minutes plus tard je sortais du bois et, parvenant soudain à un endroit découvert, pénétrai dans une prairie qui, recouverte d'une herbe drue, s'étirait sous mes yeux jusqu'à la ligne lointaine de l'horizon. …

堀辰雄『風立ちぬ』のフランス語版を日本語に訳してみる 7

[フランス語版]Aujourd'hui encore je puis faire revivre dans toute son intensité ce sentiment de bonheur si proche de la tristesse qui m'étreignait le cœur jour après jour quand vous fûtes partis. [フランス語版の日本語訳]今でもなお私は…

堀辰雄『風立ちぬ』のフランス語版を日本語に訳してみる 6

[フランス語版]Deux ou trois jours plus tard je t'aperçus le soir dans la salle du restaurant en train de dîner avec ton père, venue te chercher. [フランス語版の日本語訳①]2、3日後の夕方、お前を迎えに来たお前の父と一緒にお前は食堂で夕食…

堀辰雄『風立ちぬ』のフランス語版を日本語に訳してみる 5

前回の最後で書いたように、英訳が思った以上に当てにならないので、今回からフランス語訳から日本語に訳してみることにする*1。便宜上タイトルの番号はこれまでの続きにしておく。 この試みの目的がまだちょっとぼやけているけれど、外国語から日本語に訳す…

堀辰雄『風立ちぬ』の英語版を日本語に訳してみる 4

今回はコメントを控えめにしてさくさく進んでいくことにする。 [英語版]"Father will be here in two or three days." [英語版の日本語訳]「2、3日後にお父様がいらっしゃるわ」 [原文]「もう二三日したらお父様がいらつしやるわ」 する12 〔時が経つ…

堀辰雄『風立ちぬ』の英語版を日本語に訳してみる 3

[英語版]The wind has risen. Now we must try to live. [原文]風立ちぬ、いざ生きめやも。 あまりに有名なこの一行は今回はスルーしておく。 [英語版]The line of poetry that sprang from my lips I repeated to myself, my hand resting on the sho…

堀辰雄『風立ちぬ』の英語版を日本語に訳してみる 2

前回に引き続き『風立ちぬ』の英語版を日本語に訳していく。英語の勉強ではなく、日本語を書く訓練のために。これが元々英語で書かれたものだとして、どれだけ自然で読みやすい良い日本語に訳せるかを試してみたい。もちろん翻訳には翻訳にふさわしい慎まし…

堀辰雄『風立ちぬ』の英語版を日本語に訳してみる 1

翻訳(主に日本語への翻訳)というものになんとなく興味があって、しかしいざ日本語に訳してみると日本語力がなさすぎてごつごつした訳文しか書けないのがずっと悲しくて、もっといい日本語を書けるようになりたいと思ってきた。 そのために一つの試みとして…

世界のある意味の狭さ

三好達治「数人の詩人に就て」1950年 立原の詩は、それまでのいろんな詩人がきり開いた世界から、敏感な彼が彼の好みで選りすぐつて身につけた、さういふ語彙と語法とに、彼の若々しい青春をうちこんだ、そんな珍らしい出会ひの上に成立つてゐる。ここでは詩…

立原道造 実現はいつも僕らをうらぎる

立原道造(1914-1939) ①ノート 1933年5月 よいものを読んだ後、何も書くな、何も言ふな、お前は、その美しい恍惚を、お前の汚れた言葉で汚す 恥知らずを敢てするな。…… (全集第3巻、p. 461)*1 ②丸山薫宛書簡 1935年3月 うたふといふことが小鳥であり気ま…